訳語決定について悩む

P&G特許(特表2005-507913)の”Solvent for the Non-Emulsifying Crosslinked Siloxane Elastomer“の節の上から3段落目の話(ビデオ149号)。そんなに難しいことを言っている段落ではないが、細かな点がいくつか引っかかった。


The solvent for the cross-linked siloxane elastomer comprises one or more liquid carriers suitable for topical application to human skin. These liquid carriers may be (中略), provided that the liquid carrier forms a solution or other homogenous liquid or liquid dispersion with the selected cross-linked siloxane elastomer(中略).Solubility parameters for the liquid carriers or other materials, and means for determining such parameters, are well known in the chemical arts.(後略)


  1.  liquid carrierの訳語について

上に抜き出した範囲に4つの”liquid carrier”があるが、対訳(【0028】)では

赤字:液状キャリア

青字:液体キャリア

となっている。”liquid carrier”の意味するところは、『有効成分、薬効成分を患部に届けるものであって、その形態がliquidである』だろうが、『液体』と『液状』では、訳語としてどちらが適切なのだろう?

失敗メモ(2)を確認しつつ、可能性を1つずつ消していく。


  1. 原文の英語が間違っているのか:No
  2. 訳語が異なっているのか:Yes!
  3. 原文が同じスペルであって多義的であって、訳語が異なっているか:No
  4. 原文が同じスペルであって多義的であって、訳語が異なっていることが誤りであって、本来統一すべきなのか: Yes!

だと思う。理化学辞典やGoogle検索では確証が得られないので、特許庁のDBで『液状キャリア』、『液体キャリア』の双方で検索をかけてみる。出てきた明細書の分野に、あまり差はなかった。『液体キャリア』の方に、画像現像系の特許が占める割合が多い気がするが、化学系が無いわけでもない。

液状キャリア:48件

液体キャリア:713件

ついでに、日本語としての違いも確認する(岩波国語辞典第4版。古いが、古語が載っている最後の版で、父の俳句趣味に付き合うときに便利な辞書。そのうち、logoVistaで最新版を買いたい。)。


1.イ)すがた。かたち。外面に見える様子。ありさま。「状態、形状、奇状」ロ)形や性質を表す語「形状、連鎖状、にかわ状」(後略)
液体
物質の集合状態の1つ。ほぼ一定の体積はあるが、固有の形はない。沸点になると期待になり、凝固点になると固体になる。(後略)

んー、特許明細書的には『液体』だが、語義的には『液状』だろうか?解決したとは言い難いが、とりあえずペンディングにして、先を読む。

2.次に気になったのが、緑字の部分である。

a solution or other homogenous liquid or liquid dispersion

(対訳:溶液又は他の均質な液体又は液体分散液)

疑問1:溶液以外の均質な液体とはなんだろう? solution(=真溶液)、other homogenous liquid(コロイド溶液等を含む真溶液の範囲に含まれない溶液)だろうか。

疑問2:『液体分散液』の最後の『液』は原文にないが、これはどうしたことか?意味的には、液-液分散の溶媒の方を指すと考えればよい気がするが、訳語としてはどうするのが正解だろうか?分散液に該当する語は”liquid dispersion”ではなく、”dispersion liquid”になるはずだが。

→ 原文の英語が”dispersion liquid”の誤りである、という仮結論にして、先に進んだ。

今日はとても沢山書いて疲れてきたので、以下、その他の今朝までの進捗を箇条書きにする。

  • 溶解度パラメータ(SP)について調査
  • 分散基礎講座』という10回シリーズの素敵な資料を見つけてダウンロードした。全部揃えるのに、ちょっと苦労した。
  • 特許明細書を読み進めた(ビデオでいうと、158号まで)
  • この特許明細書の対訳全体を通して、『非揮発性』ではなく、『不揮発性』じゃないかと思う。

今日は子供の4歳の誕生日ということもあって、水族館にお出かけをする予定。あんまり勉強できそうにないな。。。

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