イベント「竹取工学物語」に行ってきました

勉強会・博物館・イベント

北海道大学CoStePが札幌・紀伊国屋で定期的に開催するイベント「サイエンス・カフェ札幌」の第102回「竹取工学物語~自然のことをよろづのモノにつかうふには」を聞きに行ったのでメモ。昔、建築資材の振動試験をする現場をたまたま訪れた際に、「揺れ」の制御を紹介したパネルを見て、その方法の多様さに感心したことを思い出した。竹のような構造を活かした建築技術や資材が、近々出てくるのかもしれない。

概要

構造力学・材料力学の視点から竹のバイオミメティクスを研究している北海道大学工学院の佐藤準教授が、一般市民向けに、自身の研究内容を紹介するもの。

北海道大学の佐藤太裕准教授らの研究グループは,竹に埋め込まれた繊維の疎密分布と,その補強効果との関係を構造・材料力学的に考察しました。その結果,竹の断面でみられる繊維の疎密は,竹全体を曲がりにくく補強するために理想的な分布であることがわかりました。この成果は,竹が進化の過程で獲得した「生存競争を勝ち抜くための最適構造デザイン」の一端を明らかにしたことになります。また,繊維分布の制御により構造全体の剛性を最大化できるという発見は,タワー,パイプライン構造などを合理的に設計する際のヒントを与えます。すなわち,竹がもつ智恵を活かした,軽くて丈夫な新しい中空円筒構造の設計開発につながることが期待できます。

北海道大学PRESS RELEASE (2017/5/8)より抜粋

補足

維管束について

  • 植物の分類基準の1つとして、維管束を持つ植物(維管束植物:種子植物とシダ植物)と、維管束を持たない植物(非維管束植物:苔類など)がある。
  • 維管束のはたらきは、水や栄養分の運搬と、細胞壁による植物本体の機械的支持である。
  • 維管束は、木部、師部、形成層から成る。
  • 単子葉類と双子葉類では、維管束の配置は異なり、単子葉類では複数の同心円状にバラバラに並ぶが、双子葉類は同一円上に並ぶ。
  • 竹は単子葉類である。

観察

イベント会場で竹の輪切りを頂いたので、上記の基礎知識を踏まえて観察してみる。

女竹の輪切り

  • 単子用類なので、形成層がない。
  • 髄がなく、中空である。
  • 内側から外側に向けて、木部+師部の数が増えている。

佐藤準教授によると、「円筒を曲げたときに円筒断面にかかる力は、内側から外側に向けて徐々に増加するので、円筒の内側は外側と同等の強さをもつ必要はありません。」との説明だったが、たしかにその通りの構造になっていて面白い。