ストレージのメモ(SST-MRAM, MRAM)

Wikipediaより
基礎知識(IT系)

福田昭のストレージ通信、福田昭のセミコン業界最前線を参考に、SST-MRAM(スピン注入型磁気抵抗メモリ)について調べた。なお、福田昭氏のファンという訳ではない。セミコン関連でキーワード検索をすると、かなりの確率で福田昭氏の記事がヒットするだけである。

STT-MRAM(Spin-Transfer Torque Magnetoresistive RAM,スピン注入型磁気抵抗メモリ)

「スピントロニクス(spintronics)」の考え方を取り入れて、小型化・大容量化したメモリであり、いわば第2,第3世代のMRAMである。第1世代のMRAMが、ビット線・ワード線の両方に電流を流して合成磁場を誘起することによってフリー層の磁化を反転するのに対し、SST-MRAMは、スピン偏極した電流を注入することにより磁化反転をする。

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特徴

  1. 不揮発性であること(待機時の消費電流をゼロにできる)
  2. 金属配線の製造工程と互換性があること
  3. 原理的には書き換え回数の制限がないこと
  4. 高密度化と微細化を進められること
  5. 読み出しと書き込みに要する時間が短いこと

種類

磁化の方向がシリコンの表面と平行な磁気記録方式「面内(in-plane)磁気記録方式」(第2世代)と、垂直な磁気記録方式「垂直(perpendicular)磁気記録方式」(第3世代)がある。垂直方式は、「磁気異方性を得るためには、MTJの形状を細長くしておく必要があるので、磁気トンネル接合(MTJ)をあまり小さくできない」という面内方式の欠点を解消するものである。

SST-MRAMの現在

当初は、「ユニバーサルメモリ」(1種類のメモリで全てのメモリ(プログラムメモリとデータメモリ、さらには外部記憶)を賄う汎用のメモリ)の最有力候補であったが、その製造コストが下がらないため、メモリの主流派にはなれないらしい。今後の展望としては、ロジックへの埋め込みメモリとして活躍するのかもしれない。

参考:STT-MRAMの「夢」を捨てたMicronとSamsungが見据える未来

MRAM

そもそも、MRAM(磁気抵抗メモリ)とは何か?

MRAMの概要
  1. 磁気トンネル接合(Magnetic tunnel junction、MTJ)を構成要素とする不揮発性メモリである。SRAMやDRAMなどの電荷を情報記憶に用いるメモリと異なり、MRAMはMTJの磁化の状態(平行/反平行)によって情報記憶を行うため電源を切ってもデータが保たれる。
  2. MTJの磁化反転方式の違いによりMRAM、Toggle MRAM、STT-MRAM(Spin Transfer Torque MRAM)、SOT-MRAM(Spin Orbit Torque MRAM)などの種類がある。

(参考:wikipedia)

 

構造

MRAMはMTJ、セルを選択するためのビット線、ワード線、そしてMTJの抵抗変化を読み出すトランジスタからなる。ビット線、ワード線はMTJを挟んで直交に走っており、両者に同時に電流を流すことで合成磁場を誘起し、メモリセルを選択することができる。

wikipediaより

動作原理

書き込み

MTJの磁化反転により行われる。MTJは絶縁体層を上下の強磁性体層(フリー層:磁場により向きが変わる,ピン層:磁場によらず向きが固定)が挟み込む構造からなり、上下の磁化の向きが相対的に”平行”か”反平行”であるかによって抵抗の大きさが異なるトンネル磁気抵抗効果(Tunnel Magneto Resistance effect、TMR)を示す。つまり、ビット線とワード線の両方に電流を流すと、合成磁場が誘起され、それによりフリー層の磁化が反転することを利用する。

読み出し

読み出し時には、TMR効果によってMTJの抵抗の大きさが平行、反平行時(LとR)で変化するので、これらに対応する抵抗値をデータの0と1としている。

特徴

  1. 製造が比較的容易なこと。不揮発性でありながら、無限に近い回数のデータ書き換えを保証する初めての半導体メモリとなった。
  2. 微細化に適さないこと。磁界発生のために専用配線を必要とすること、磁化の方向がシリコン表面と平行な方向であることなどから、メモリセル面積が非常に大きくなった。
  3. 大容量化に適さないこと。データ書き込みに必要な電流が高いことが、大容量化妨げていた。

ー>欠点を解決するために、電子のスピンによるトルクを利用して磁化を反転させる技術(SST-MRAM)が考案された。

メモリのはたらき

ギズモードの記事で、TEDedの動画が紹介されていた。メモリがどうやって機能するのかを5分程でまとめたもので、とてもわかりやすい。

How Computer Memory works

元記事:https://www.gizmodo.jp/2016/05/post_664624.html