ストレージのメモ(常磁性・反磁性・強磁性)

Wikipediaより
半導体・ストレージ・NAS

今回も、主な参考資料は福田昭のストレージ通信である。寄り道が多いため、進みが遅い。来週からは、もうちょっとペースアップしようと思っている。

磁気記憶の基本物理

基礎固めとして、常磁性・反磁性・強磁性について復習したときのメモ。

常磁性・反磁性・強磁性

原子や分子1つ1つが双極子モーメントを持っていたとしても、物質全体として磁化を持つわけではない。1つ1つの磁気双極子モーメントの方向に関連性が現れなくてはならない。その機構は(常磁性体・反磁性体・強磁性体の)3つに分類される。

(参考:『電磁気学のききどころ』(岩波書店)を一部改変)

※ 『電磁気学のききどころ』について
最近、親戚にもらった物理参考書シリーズ『物理講義のききどころ』の1冊。アマゾンの商品紹介によると

本書「はじめに」より抜粋 

このシリーズは、必ずしも相容れない2つの目標の実現を目指して書き始めた。第1は、受験参考書に負けない「学習者に親切」な教科書を書こうという目標であり、第2は、大学の物理らしい「物理学の本質」が理解できる解説をしようという目標である

とのことだが、シリーズを通して大学生レベルだと思われる。けっして初学者向きではない。

常磁性体

  • 『電磁気学のききどころ』による説明

原子や分子がスピンに起因する磁気双極子モーメントを持っている場合に起こる。外から磁場をかけると、それらが似たような方向を向き、物質全体として磁化を持つことになる。原子・分子の1つ1つを小さな磁石だと考え、外から大きな磁石を近づけたときに小さな磁石がその方向を向く状況と考えればよい。磁石は互いに引き付け合う方向に向くことに注意。

  • 『福田昭のストレージ通信』の説明

外部から磁界を加えると磁界と同じ方向の磁気を弱く帯びるものの、外部からの磁界をゼロにすると磁気を帯びなくなる材料である。またこのような性質を「常磁性」と呼ぶ。常磁性体では外部磁界が存在しない状態での原子の磁気モーメント(電子スピンによる磁気モーメント)が存在しており、磁気モーメントの方向がばらばらであるために全体としては磁気を帯びていない。

反磁性体

  • 『電磁気学のききどころ』による説明

電子の運動が外からの磁場に影響されて、磁気双極子モーメントを持つ場合である。外からの磁場により生じるのだから、どの原子のモーメントも同じような向きになり、物質全体としても磁化する。しかし、その性質は常磁性とは大きく異なる。まず、その大きさはずっと小さい。また、生じる磁気双極子モーメントの向きは、外からの磁場とは逆方向になる。つまり反発力を生じる。これが反磁性という言葉の由来である。

  • 『福田昭のストレージ通信』の説明

「反磁性体(diamagnetic material)」とは、外部から強い磁界を加えると、非常に弱い反対方向の磁気を帯びる材料である。外部磁界をゼロにすると、磁気はゼロとなる。このような性質を「反磁性」と呼ぶ。常磁性体と反磁性体の大きな違いは、反磁性体では外部磁界がゼロのときは、原子の磁気モーメントが存在しないことだ。外部磁界によって原子の磁気モーメントが誘起される。

強磁性体

  • 『電磁気学のききどころ』による説明

永久磁石のように、外から磁場をかけなくても磁化している物質のことである。磁化の原因は原子間力である。原子1つ1つがスピンによる磁気双極子モーメントを持ち、しかも隣り合った原子の間に、お互いのモーメントの向きを平行にしようとする力が働いていると、このようなことが起こりうる。

  • 『福田昭のストレージ通信』の説明

「強磁性体」とは、外部から磁界を加えると磁界と同じ方向の磁気を強く帯びるとともに、外部からの磁界をゼロにしても強い磁気が残る材料である。初めから強い磁気を帯びていること
もある(「自発磁化」と呼ぶ)。またこのような性質を「強磁性」と呼ぶ。単に「磁性体」と呼ぶときは、強磁性体を指すことが多い。

双極子モーメントについて復習

双極子

有限の距離にある正負のわき出しの1対。たとえば電荷 ±q が距離 l にあるとき

μ = ql

を双極子モーメントという。(後略)

(出典:岩波理化学辞典 第3版増補版)

・・・とりあえず辞典を引いてみたが、よくわからない。しかし、『原子や分子のスピン』というキーワードが分かっているので、原子や分子の軌道について復習をすれば良さそうだ。また、『福田昭のストレージ通信』によると、強磁性体として工業で使用されてる元素は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)の3種類しかないとのことだ。

量子数と軌道

軌道がどうやって決まっていたかというと、4つの量子数とパウリの排他原理だった。

パウリの排他原理
原子中の電子は4つの量子数(n, l, ml, ms)によって規定される1つの状態に1個の電子しか存在できない。

(参考:『物質化学の基礎』)

鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)

周期表で、これらの元素の場所を確認すると、

Fe : 第4周期の8族

Co:第4周期の9族

Ni:第4周期の10族

である。

ここで、この3つの元素が、M殻の3pまではアルゴン(Ar)と同じ電子配置であることと、軌道にはエネルギー準位というものがあって、これが小さいモノから埋まっていくことを思い出すと、この3つの元素に共通することは、

  • K殻、L殻および、M殻の3sと3pが閉殻したアルゴン構造
  • エネルギー準位の逆転によって、3dより先に4sが埋まっている

である。でも、だとすると、なぜFeの1つ左のMnは単体では強磁性にならないのだろうか?