ストレージのメモ(記憶素子とSCM)

Wikipediaより
半導体・ストレージ・NAS

ひさしぶりに『福田昭のストレージ通信』より。「抵抗変化メモリの開発動向シリーズ」および、その他参考資料の勉強メモの一部。

記憶素子の歴史・種類

 メモリ技術とストレージ技術を俯瞰(ふかん)してみると、数多くの多彩な記憶素子が共存していることが分かる。

福田昭のストレージ通信より。https://eetimes.jp/ee/articles/1611/09/news030.html

磁気と電子の記憶素子技術

もっとも古いものは、1920年代に開発された磁気記憶であり、製品としては磁気テープやフロッピーディスク・HDDがある。

 電子(および正孔)を記憶素子に用いる半導体メモリは、1958年にユーザが書き換え可能なPROM(Programmable Read Only Memory)の原理が発表されて以降、約60年の歴史がある(EPROM->EEPROM->NOR型フラッシュメモリ->NAND型フラッシュメモリ)。

EPROMとEEPROM

 1971年、EPROM(Erasable PROM)が発表された。データを消去するためには、強力な紫外線を一定時間照射する必要があり、かつ、一括消去しかできないが、ユーザが自分で書き換え可能な唯一のメモリだったので、1990年代にフラッシュメモリが登場するまでは、マイコン・システム開発過程のファームウェア工程を担っていた。1978年、EPROMに代わるものとしてEEPROM( Electrically Erasable PROM )が発表されたが、MSOFETを2個必要とし、コスト面ではよくなかった。

磁気と電子以外の記憶素子技術

  • 強誘電体の誘電分極 を利用するもの(強誘電体メモリ:FeRAM)
  • イオンの動きを利用するもの(抵抗変化メモリ:ReRAM)
  • カルコゲナイド合金の相変化を利用するもの(相変化メモリ:PCMあるいはPRAM)
  • 電子スピンの注入による磁化反転を利用するもの(スピン注入型磁気メモリ:STT-MRAM)

  強誘電体を除く新しいメモリ技術は全て、電子(電荷)の量ではなく、抵抗の値をデータの論理値に対応させている。微細化の寸法が10nm以下に進もうとしている現在、記憶素子が蓄えておける電子の数は10個未満になりつつある。ばらつきを考慮すると、電子を利用した記憶原理では微細化に対応できない。抵抗値をデータの記憶に利用するのは、必然的な流れともいえる。

 SCM (Storage Memory Class )

SCMとは?

  • ストレージとメインメモリの中間に位置する記憶媒体の総称
  • メインメモリよりも記憶容量あたりのコストが低く、ストレージよりも高速である。
  • 不揮発性であり、かつ大容量化が可能なメモリとして、抵抗変化メモリ・磁気メモリ・相変化メモリがSCMの候補として挙げられる。
メモリ階層の変遷 (縦軸:記憶容量当たりのコスト,横軸:アクセス時間)

SCMの要件

  • 記憶容量あたりのコストがDRAMより低い。
  • メモリアクセスのレイテンシ(遅延時間)は、SSDよりも2~3桁程度低い。
  • DRAMと同様にランダムアクセスが望ましい。
  • データ保持期間(Data Retention)は、互換性の点からSSD同様に10年間くらいが理想的である。
  • 書き換え可能回数は、理想的には無限回だが、用途によっては100万~10億回でよい。

抵抗変化メモリ(ReRAM)

 抵抗値を利用した状態変化メモリである。状態変化メモリとは、電圧の掛け方で状態が変わって抵抗値の大きさが大小する物質の性質を、うまく「0」と「1」に対応させてデータを記憶するものである。

電気伝導のおもな原理

 抵抗変化メモリの記憶素子には「低抵抗状態」と「高抵抗状態」の2つの安定状態があり、これら2つの状態を実現するためには、何らかの原理に基づいて電気伝導を制御しなければならない。おもな方法は下記の7種類であり、これらを組合わせて抵抗状態を制御している。詳細は下記参照のこと。
https://eetimes.jp/ee/articles/1611/29/news031.html

  1. オーミック(Ohmic)伝導
  2. 空間電荷制限電流(SCLC:Space Charge Limited Current)
  3. プール・フレンケル(Poole Frenkel)伝導
  4. ショットキー放出(Shottky emission)
  5. トラップ・アシスト・トンネリング(Trap-assistant tunneling)
  6. 量子ポイントコンタクト(Quantum point contact)
  7. ファウラー・ノルドハイムトンネリング(FN tunneling:Fowler-Nordheim tunneling)あるいは直接トンネリング(Direct tunneling)

開発の特長

 さまざまな元素(材料組成)を試すことが特徴的である。半導体プロセスと互換性があることを共通点とする、数十種類が検討されている。

  • 抵抗変化層:22種類
  • 電極層:14種類

復習:RAM(Random Access Memory)

 一時的な作業領域であり、電源を切ると情報が失われる。低価格で読み書きの速度が速いことが求められる。

DRAM(Dynamic RAM)

 記憶データをキャパシタの電荷として蓄積するため、一定時間で自然放電する。DRAMメモリのキャパシタが電荷を蓄えておけるのは長くても100ミリ秒なので、32ミリ秒あるいは64ミリ秒の周期で、全ビットを再書き込み(リフレッシュ)する必要がある。リフレッシュはDRAMにとって不可欠な動作であり、消費電力を増加させる一因である。

SRAM(Static RAM)

記憶部にフリップフロップ回路を用いており、リフレッシュが不要である。