強誘電体メモリ①(誘電体の復習)

Wikipediaより
半導体・ストレージ・NAS

『福田昭のストレージ通信』より。「強誘電体メモリの再発見シリーズ」の勉強メモの一部。

第三世代の強誘電体メモリ

 まず、強誘電体メモリとは「強誘電体の誘電分極 を利用するメモリ」である。大きく分けて過去3回の開発の波があり、2010年代以降がその3回目(第3世代)にあたる。

  • 第一世代(1950年代前半~):おもな材料はチタン酸バリウム
  • 第二世代(1980~1990年代):おもな材料はPZTとSBT
  • 第三世代(2010年代~現在):おもな材料はハフニウム酸化物

FeRAMの新材料:ハフニウム酸化物

 高い誘電率を特徴とした化合物であり、半導体材料としては珍しいものではない。FeRAM以外にも、金属ゲートのMOSFETにゲート酸化膜として大量に使用されているし、DRAMのキャパシタ絶縁膜として使用された実績もある。しかし、添加物や製造工程の工夫によって、特定の条件下で強誘電体になることがわかった。しかも、厚みを10nm以下にしても強誘電体の性質を維持できる。

 従来の圧電セラミックス系材料には、厚さが100~200nmを下回ると強誘電性が急速に失われるという弱点があった。

誘電体について

 FeRAMの性質を理解するためには、強誘電体以外の誘電性をもつ物質(誘電体・圧電体・焦電体)についての理解も欠かせない。そこでウェブや手持ちの参考書を参照して、誘電性をもつ物体全体について調べた。

復習①:絶縁体と誘電体の違い

 絶縁体と誘電体は何が違うのか?ウェブ上の掲示板などでは「観点が違うだけでほぼ同じ」という類の説明を目にするが、いまいちよくわからない。

 電子情報通信学会のウェブサイト 電子情報通信学会『知識の森(http://www.ieice-hbkb.org/) には、次のように書いてあった。

絶縁材料の機能は電流の流れを断ち切ることである.一方,誘電材料の機能は電荷を蓄積することにある.両者は,電流を流さないという点で共通している.一般に,誘電率の小さい材料が絶縁材料として,誘電率の大きな材料が誘電材料の候補となる.

9 群-1 編-1 章

つまり、誘電率の大小による分類、ということだろう。ちなみに、岩波理化学辞典(第3版)によると、『(絶縁体とは)電気または熱を伝えない物質の意。実際上、電気伝導度または熱電導度が十分小さいものを指す。電気的絶縁体は誘電体と同義に考えられることが多い。』とのことである。なお、直流・交流を混ぜて考えるとたいへんなので、直流に限って考える。

復習②:分極率と誘電率

 誘電体に電場(電圧)がかかると、結晶内部で元々平均的に分布していたプラスとマイナスの電荷に多少の偏りが生じて、その偏りが外からも見えるようになる。 「どれほどの偏りが生じるか」ということはつまり、「誘電体に電場Eをかけた際に現れる分極の大きさはいかほどか」ということであり、この比率を分極率、電場Eに対する比例係数を電気感受率χという。

そして、この電気感受率χを真空の誘電率ε0で割った値に1を足した値が、比誘電率εrだった。

今日はここまで。