近々、アルバイト先の法律事務所が、個人事務所から弁護士法人へ「法人成り」するという。
定款・登記・口座開設・顧客への通知など必要作業のリストアップおよび、全体スケジュール管理をなぜか担当することになったので、ゼロから勉強したときのメモ。
法人の種類
「法人化」といってもいろいろな法人がある。それぞれ特徴があるので、まずはその整理から始めた。今回立ち上げるのは弁護士法人(弁護士だけが社員になれる)で、合名会社に準ずる士業法人の一種にあたる。

行政が公開している一覧表がないか探したところ、第3回弁理士制度小委員会の配布資料(各士業の法人制度比較表)が引っ掛かった。
有限責任と無限責任
- 有限責任:出資額を上限に債権者への責任を持つことを指す。出資額が責任の上限額であるため、抱える責任にも限度がある。
- 無限責任:債権者に連帯して負債を追うこと。会社が負債を抱えてしまったとき完済するまでは、会社の財産だけではなく私財までを投げ打って返済する必要に迫られる。
法人化するメリット・デメリット
弁護士法人といえども、個人事務所から法人へステップアップする際のメリット・デメリットは一般企業とさほど変わらない。
メリット
- 節税対策
- 有限責任(合名会社・合資会社を除く)
- 信用力
- 社会保険に入れる
節税対策
〇消費税
個人事業者同様に、資本金1,000万円未満であれば最初の2年間は原則として消費税が非課税になる。一番お得なのは、個人事業主を2年やってから法人に移行すること。極端な話、1月に開業して最初の2年間は個人事業(自営業)で通すことで消費税の非課税事業者となり、その後年明け1月に会社設立して、12月決算を2年続ければ、最長4年消費税の非課税事業者になれる可能性もある。
〇法人税vs所得税
・企業の利益に掛かる法人税:法人税・法人住民税・法人事業税を合わせた実効税率で34.62%
・個人の所得に対して課税される所得税は、累進課税がとられているため、所得が増えるほど上がる。たとえば、所得税は所得195万円以下の部分は5%だが、所得195万円を超えて330万円以下の部分は10%、330万円を超えて695万円以下の部分は20%と上がり、税率は最高で40%。
・個人事業では赤字が3年しか持ち越せないが、法人では赤字が9年持ち越せる。
なお、住民税は、どの市区町村に住んでいても一律で所得の10%を支払う所得割と、市区町村によって算出方法が異なる均等割の合計額を支払う。そのため、年間の所得が500万円を超えると、法人化した方が節税になるケースがある。
メリットの2~4については、特に書くほどのことはない。書いてあることそのままだ。
デメリット
- 赤字でも税金の支払い
- 社会保険への加入が必須化
- 会計/事務手続きの増加
- 交際費が全額損金に参入できない
とりあえず今回はここまで。