進捗(8/12~8/18)パリ条約

特許法など法律関係

 某翻訳会社の校正者採用二次試験(研修)を受験しつつ、Tradosの設定や知財系の条約を勉強を進めた。校正者(処理の流れ:翻訳者~校正者~チェッカー~校正者~DTP)に要求される能力は、翻訳者やチェッカーとはまた違う。 正直なところ、「校正」がどんな仕事かよく分からずに応募したが、実際にやってみると、性格の向き/不向きが大きく影響する職種だし、翻訳とはまた違った難しさがある。 英語力よりも日本語力、言葉やレイアウトに違和感をもつセンス、指示書に対する注意力、後工程への明確な指示、翻訳者に対する適切なフィードバック、納品物全体を俯瞰して判断する力、各種ツールを適切に使うITスキルが必要だ。やって「楽しい」かどうかはまだよく分からない。研修という名の採用試験はまだ数週間続く。

 アルバイト先の法律事務所では、PCTやらマドプロやらの海外出願の案件が発生する。基礎的な知識がないと業務に支障をきたすので、まずパリ条約から勉強した。弁理士先生がどんどん参考資料を紹介してくれるけれど全部こなすのは到底無理なので、興味のある分野から進めている。

外国へ特許出願する方法

  1. その国へ直接出願する
  2. パリ条約による優先権を主張して出願する
  3. 特許協力条約(PCT)に基づいて出願する

属地主義

 国ごとに定められた権利や義務は他の国に影響を及ぼさない、という考え方
-->海外でビジネス展開をするためには、それぞれの国に出願して特許権を得る必要がある。そのためには、各国のルールに従い、かつ、現地の言葉に翻訳しなければならない(地理的不平等

パリ条約

 地理的不平等を解消し、国際間の通商関係を円滑にして工業所有権を国際的に保護するという目的のもと「パリ条約」が締結された。パリ条約同盟国間で、別の条約を定めることを否定していない(パリ条約第19条)。特許に関して、パリ条約よりも一歩進めた保護を図ろうと締結された条約が特許協力条約(PCT)である。

パリ条約の条文が特許庁のウェブサイトに掲載されている。

三大原則

  1. 内国民待遇
  2. 優先権
  3. 各国特許の独立

内国民待遇

  • 自国民に課されている条件および義務に同盟国の国民が従う限り、自国民と同等以上の保護および救済措置を同盟国の国民に対して与えなければならない。「現在」行っている保護と救済措置だけでなく「将来」行う可能性があるものを含むところがポイント

各同盟国の国民は,工業所有権の保護に関し,この条約で特に定める権利を害されることなく,他のすべての同盟国において,当該他の同盟国の法令が内国民に対し現在与えており又は将来与えることがある利益を享受する。すなわち,同盟国の国民は,内国民に課される条件及び手続に従う限り,内国民と同一の保護を受け,かつ,自己の権利の侵害に対し内国民と同一の法律上の救済を与えられる。

パリ条約第2条(1)
  • 保護を請求する国内に住所/営業所が不要(パリ条約第2条(2))
  • 司法上及び行政上の手続並びに裁判管轄権については、内国民と扱いが異なる (パリ条約第2条(3))

優先権

  • 同盟国の一国にした最初の出願を基にして、その出願日から12ヶ月以内であれば、後に他の同盟国に出願した場合に、最初に出願した日に出願したものと同様の効果を与える。
  • 特許と実用新案の優先権は12ヶ月だが、意匠と商標は6ヶ月である
  • 新規性などの判断は、最初の出願日が基準となるが、出願日が遡及するわけではない
  • 「別々の同盟国にした複数の特許出願に基づき複数の優先権を主張して、他の同盟国に1つの特許出願をすること」あるいは「同一の同盟国で別々に行った複数の特許出願に基づいて複数の優先権を主張し、他の同盟国に1つの特許出願をすること」を複数優先と呼び、優先権の基礎となった複数の出願の中で最も早く出願した日(第一国出願日)が優先期間の起算日となる。
  • 日本以外のパリ条約同盟国で特許出願した後に、優先権を主張して日本で特許出願をする手続きについては、特許法43条にて規定されている。

1.日本で出願すると同時に以下を記載した書面を提出する
  ・パリ条約による優先権を主張する旨
  ・最初に出願した同盟国の国名
  ・出願日
かつ

2.最初の出願日から1年4ヶ月以内に所定の証明書(優先権証明書)を提出する


各国の特許の独立

独立の対象は、無効・消滅・存続期間・特許審判・審査手続き・与えられた権利範囲に影響する。

同盟国の国民が各同盟国において出願した特許は,他の国(同盟国であるか否かを問わない。)において同一の発明について取得した特許から独立したものとする。

パリ条約第4条の2(1)

その他

  • 日本の意匠の定義「物品(物品の部分を含む)の形状、模様もしくは色彩またはこれらの結合であって、視覚を通じて美観を起こさせるもの」が、他の同盟国と同一であるわけではない。-->意匠の範囲(定義)、保護の方法(民事的・刑事的な救済方法)については、各同盟国の自由とし、内国民待遇にて保護する。
  • 周知商標も保護する。