進捗(8/26~9/1)PCT条約(国際調査・国際公開)

 某翻訳会社の校正の研修(採用試験)を継続して受験中である。やればやるほど、翻訳と校正とは別物だと分かる。翻訳だけをやりたい人や、日本語表現にこだわりを持ちたい人に校正の仕事は向いていない。特に初校では「及第点以下の翻訳文を及第点まで引き上げる」までの作業をする。 翻訳調の日本語を修正したくなっても、英文解釈的に間違っていないのであれば、そこは触ってはいけないのだ。

むかし、無洗米がスーパーに出回り始めたころ「無洗米を再定義。すなわち”研ぎたくなるコメ”」と言った知人がいたことを思い出す。ちょっと、そんな感じ。全体を半眼で眺めて、コンパイラになった気分で作業するとちょうどいいんじゃないかと思う。

先方に提出した研修課題の答案に対して、担当者から約4, 000文字(!)のダメ出し&アドバイスが届いたので、これをしっかり読んで、自分なりにミスの原因を分析し、再発防止策をテキストにまとめて提出した。せっかくの機会なので引き続き頑張る。

 この研修が終わったら、あらためて「翻訳」のトライアルを2件くらい受ける計画だ。

以下、PCTのメモの続き


PCT条約の国際調査・国際公開

PCT出願の流れ

国際調査

 すべてのPCT出願は国際調査の対象となり、国際調査機関において、国際出願日を基準とし、発明に関連のある先行技術(先行技術調査)が調査される(15条(1))

(1) 各国際出願は、国際調査の対象とする。
(2) 国際調査は、関連のある先行技術を発見することを目的とする。
(3) 国際調査は、明細書及び図面に妥当な考慮を払つた上で、請求の範囲に基づいて行う。
(4) 次条に規定する国際調査機関は、可能な限り多くの関連のある先行技術を発見するよう努めるものとし、いかなる場合にも、規則に定める資料を調査する。
(後略)

PCT条約 15条

国際調査機関

  • PCTの締約国間で形成された国際特許協力同盟の総会で選定される
  • 受理官庁が日本国特許庁である国際出願の場合、日本語による特許出願なら日本国特許庁が調査機関となり、英語であれば日本国特許庁かヨーロッパ特許庁になる

関連のある先行技術

・PCT規則33.1(a)項に定められている。

33.1 国際調査における関連のある先行技術
(a) 第十五条(2)の規定の適用上、関連のある先行技術とは、世界のいずれかの場所において書面による開示(図面その他の図解を含む。)によつて公衆が利用することができるようにされており、かつ、請求の範囲に記載されている発明が新規性を有するもの及び進歩性を有するもの(自明のものではないもの)と認められるかどうかを決定するに当たつて役立ち得るすべてのものをいう。ただし、公衆が利用することができるようにされたことが当該国際出願日前に生じていることを条件とする。

特許協力条約に基づく規則 (2019 年 7 月 1 日発効) 33.1

最小限資料

PCT規則34項に定められている。

  • 国内特許文献
  • 公表された国際(PCT)出願、特許又は発明者証の公表された広域出願並びに公表された広域特許及び広域発明者証
  • 公表された非特許文献のうち国際調査機関が合意するものであつて最初の合意の際に及び変更の都度国際事務局によつて一覧表において公表されるもの

調査結果

 国際調査機関から国際調査報告として、出願人とWIPOの国際事務局に送付され(PCT18条(2))、あわせて、発明の特許性に関する審査官の見解である「国際調査見解書(WO/IASA)」も出願人と国際事務局に示される。

国際調査見解書

  • 国際予備審査と同内容だが、自動的に実施される調査である
  • 請求の範囲に記載された発明が、新規性・進歩性・産業上の利用可能性を有するか否か(=特許性の有無)についての見解を書面で示したものであり、これによって、出願人は国際出願の段階で、特許性に関する見解を得ることができる。

出願人が取る対応

 国際調査報告や書面による見解書を受け取った出願人は、国際出願の請求の範囲について、1回に限り補正できる(PCT条約19条)
-->権利化を図る国への移行手続きの前に、一括して補正が可能ということ

(1) 出願人は、国際調査報告を受け取つた後、所定の期間内に国際事務局に補正書を提出することにより、国際出願の請求の範囲について一回に限り補正をすることができる。出願人は、同時に、補正並びにその補正が明細書及び図面に与えることのある影響につき、規則の定めるところにより簡単な説明書を提出することができる。
(2) 補正は、出願時における国際出願の開示の範囲を超えてしてはならない。
(3) 指定国の国内法令が(2)の開示の範囲を超えてする補正を認めている場合には、(2)の規定に従わないことは、当該指定国においていかなる影響をも及ぼすものではない。

‘PCT条約 19条

国際公開

・原則として、優先日から18カ月後に行われる
・国際公開されると、出願人は指定国の国内法令が定める効果が得られる。


-->日本国の場合、出願公開後に出願人に「補償金請求権」(特65条)が認めらるが、これが「国内法令で定める効果」になる。もしくは、外国語の特許出願について日本語の翻訳文による国内公表(特184条の9)があった後に、国際特許出願の出願人は、国際特許出願に掛かる発明の内容を記載した書面を提示して警告すれば、警告後から特許権の設定登録前に業としてその発明を実施した者に対し、補償金を請求できる(特184条の10)