進捗(10/7~10/13)校正者の研修(了)

トライアル関係・イベント参加

 8月の中旬から約2か月間にわたって続いた特許校正者の二次採用試験(全7回)が終了し、最後の答案を提出した。校正者として採用になるかどうかは分からないけれど、学ぶことは非常に多かった。もっとも、チェッカーよりもさらに低レートだから、採用されなかったとしても、まぁそれはそれだ。以下、研修(という名の採用試験)のまとめと感想。

特許校正とは

特許翻訳の処理の流れ

 一口に校正者といっても、一般出版物の校正者と特許校正者はまったく別物だ。特許の校正では、原文と訳文を一語ずつ突き合わせて、翻訳者のケアレスミスを拾う作業をする。拾うのはあくまでもケアレスミスであって、翻訳者の専門知識の浅さに起因する本気のミスは、 訳語が統一して使用されている限り拾わなくてよい。それは後続処理でチェッカーがやる仕事だからだ。翻訳会社によっては、チェッカーが校正者を兼ねることがあるかもしれない。

校正作業の難しさ

 望まれる校正作業ができるかどうかは、訓練だけでなく本人の性格が重要な気がする。

1.発見

 PDFをOCR化した翻訳原稿の場合、1とl、二とニなど、形が近い文字が誤認識される場合がある。

 今のバイト先の上司は校正など学んだことがないにもかかわらず「ねぇ、ketaさん、この報告書、10行目のインデントが半角分だけずれてるよ」などと簡単に指摘してくる。こういう注意力がもともと備わっている人ならば、きっと問題なく見つけるのだろうけれど、残念ながら私にその能力はない。仕方がないからWordなどの校正機能を使いつつ、出来るだけ頑張る。

2.直さない

 上にも書いたように、ケアレスミスや文法ミスはともかく、翻訳者の本気のミスを直してはいけない。注意喚起もしなくてよい。それは後続のチェッカーの仕事だからだ。

 理屈では分かっていても、実践するのは難しい。昔、無洗米がスーパーに並び始めたころ「無洗米を再定義:洗いたくなるコメ」と評した友人がいたことを思い出す。無洗米を洗いたくなっても洗わなくてよい(洗ってはいけない)のと同じで、無私のココロで、コンパイラになった気分で翻訳文に対峙し「この翻訳者、あほだな」と思っても、それを作業に反映させてないけない。

コンパイルとは

プログラミング言語(人間が理解しやすい言語や数式でプログラムを記述可能な人工言語)で書かれたプログラムを、コンピュータのプロセッサ[1]が直接的に実行できる機械語(バイナリコード)、あるいは元のプログラムよりも低いレベルのコード(例えばバイトコードなどの仮想機械向け中間言語あるいは中間表現)に変換することを、英語の動詞で”compile“(コンパイル)と呼ぶ。コンパイラとは、コンパイルを行なうコンピュータプログラムのことである。

wikipedia

 初校は、ケアレスミスや仕様書の不遵守により落第点の翻訳を、及第点にしてあげるのが仕事だ。コンパイルが通ればいいのであって、ビューティフル・コードはいらないのだ。

『葉っぱのフレディ』の誤訳論争

 先週、翻訳サークル(?)の勉強会で『葉っぱのフレディ-いのちの旅』の誤訳論争について聴いてきた。初校の研修内容を思い出しながら聞いていると、『葉っぱのフレディ』の翻訳は、完全に✖に思えた。原著者がドライに「死」に向き合っているのに対して、翻訳者はかなりウェットだ。絵本のデザインも大きく変わっている。けっこう面白いイベントだったので、開催案内を抜粋しておく。

テーマ:「葉っぱのフレディ~直訳対意訳論争、誤訳論争をめぐって」
*原書はアメリカの著名な哲学者レオ・バスカーリア博士が「いのち」について書いた生涯でただ一冊の絵本です。
*いのちに対する文化的背景が翻訳にどのように影響するのか? そこから生じる直訳・意訳・誤訳論争について

【参考】
・原書:The Fall of Freddie the Leaf:A Story of Life for All Ages, by Leo Buscalgia https://achievebalance.com/spirit/theleaf.htm
葉っぱのフレディ をめぐって(みらいなな訳)https://blog.goo.ne.jp/jybunya/e/894e0032a2a06e0a040dabae677c57bd
葉っぱのフレディ日本語版翻訳批判について(三木卓訳):http://www5.synapse.ne.jp/tanemura/newpage43.htm
The Fall of Freddie the Leaf(原書朗読):https://youtu.be/lnlSI9KyrDc

サークル内のイベント案内より抜粋

特許と文芸、分野が変われば許容範囲や求められるものも変わるのだろう。

まとめ?

翻訳は役務であり、翻訳物は商品だ。各過程で求められる作業をしなければならない。