原子中の核外電子のエネルギー準位

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原子模型の基礎知識の補足記事。

連続スペクトル(古典力学)と不連続スペクトル(量子論)

エネルギー準位がとびとびの原子模型をボーアが考案した根拠として、核外電子の運動の観測結果がある。

観測結果
電子が連続的な任意の軌道を取るならば、観測結果は連続スペクトルになるはずである。しかし、実際に観測結果では、連続スペクトルではなく、決まった波長の輝線の集まりから成る線スぺクトルが観測された。

ここでいう「連続スペクトル」と「不連続スペクトル」が何だったかというと、下図のように、 「連続スペクトル」 とは、エネルギー量の大小がなめらかに変化する古典力学の考え方であり、「不連続スペクトル」とは、エネルギー量がとびとびの値(ボーアの振動数条件にしたがう値)しか取ることができないという量子論の考え方である。

原子中の核外電子のエネルギー準位図
( 参考:金属物理学序論―構造欠陥を主にした (標準金属工学講座 9) 幸田 成康 (著) )

この図を原子模型のような円盤状に書き直すと、以下のようになる。連続スペクトル(古典力学)では、核外電子は任意の軌道を取ることができるが、不連続スペクトル(量子論)では、決まった軌道しか取ることができない。下図の赤い矢印はエネルギーの大小関係を示しており、各円の中心の黒点(原子核)はエネルギー量がもっとも小さく、円の外側になるにつれて、エネルギー量が増大する。

方位量子数 の効果

方位量子数が何だったかというと、円軌道に楕円の要素を加えるはたらきだった。つまり、方位量子数が大きくなればなるほど、楕円の離心率が大きくなって、核外電子の軌道は平べったくなる。

離心率 e について
e = 0:真円、0< e < 1:楕円、e = 1:放物線、e > 1:双曲線

その結果、たとえばMgとFeとのエネルギー準位を比較した図が下図のようになる。

MgとFe のエネルギー準位の比較
( 参考:金属物理学序論―構造欠陥を主にした (標準金属工学講座 9) 幸田 成康 (著) )