相続関係調査についてメモ

特許法など法律関係

法律事務所で働き始めてもうすぐ1年半が経つ。徐々に仕事の範囲が広がり遺産分割調停等の相続案件にも関係するようになってきたので、アタマの整理を兼ねてメモ。戸籍については以前にメモを作った

相続関係調査

遺産分割調停や相続に関する基本調査として相続関係の調査がある。皆が納得する遺言書があるなど、相続人の間にモメゴトが無ければ必要ない作業だが、法律事務所に相談にくる時点で問題が発生しているので、裁判を見越して必ず調査することになる。

公証役場で作った正式な遺言書があったとしても、たとえば被相続人の介護を担当していた長女が、被相続人と結託して、ほかの兄弟姉妹に断りなく新しい遺言書を別の公証役場で作成してるかもしれないし、被相続人の定期を解約するなどして銀行口座から生活費・介護費以外の資金を引き出しているかもしれない。

調査手順として、まず、相続人の1人(依頼人)の最新の戸籍謄本上の記載から被相続人(死んだ人)の戸籍謄本を取得する。手続きを踏んで本籍地の自治体の担当部署に照会すれば、本籍地と氏名から戸籍を特定してもらえる。目的は被相続人の出生~死亡までの履歴をたどることである。特に、遺族が知らないところで離婚の経歴はないか、連絡が取れない行方不明の子はいないか、認知済みの婚外子はいないか等に注目する。ベテラン事務員によると、明治大正生まれくらいの人は10代で結婚や出産を経験した後、戦争で死別して再婚している場合や、遺族が誰も知らない兄弟姉妹がいることも結構あるとのことだ。

なお、第1順位相続人(直系の子・孫世代)も第2順位相続人(祖父or祖母)もいない場合は、被相続人の両親の戸籍(出生~死亡)を確認して被相続人に第3順位相続人(兄弟姉妹)がいないかどうかを調べることになり、作業が2倍、3倍・・・になる。

戸籍のロンダリング
管轄外に転籍をすることで戸籍に離婚歴や隠し子が載らないようにする方法などがネット上に紹介されているけれど、戸籍謄本を取り寄せて戸籍事項欄を見れば1つ前の戸籍がわかるのであまり意味がない。

戸籍謄本の記載事項

  1. 本籍地欄
  2. 筆頭者欄(夫婦どちらかの姓を名乗る)
  3. 戸籍事項欄(戸籍全体に関する編製・転籍・分籍・除籍)
  4. 身分事項欄(出生・婚姻・離婚・養子縁組・認知等)
  5. 配偶者欄(妻・夫)※養子縁組をした場合は養父・養母が追加される
  6. 父母欄(父欄が空白だったり、父母の姓が違う場合もある)
  7. 名欄(名前)
  8. 続柄欄(長男・長女など)
  9. 生年月日欄(和歴)

相続人の分類

※養子関係の代襲相続:養子縁組の成立が相続事由の発生より前の場合のみ、代襲相続が可能

例)祖父(被相続人)が亡くなる以前に①父(祖父からみて子)と子(祖父から見て孫)の間で養子縁組が成立し、②父(祖父からみて子)が死亡した場合に、父(祖父からみて子)に代わって子(祖父から見て孫)が相続人になる

基本用語の確認

・相続順位
相続人となることができる優先順位(配偶者は別枠)

・法定相続人
民法の規定に従って相続人になる

・代襲(だいしゅう)相続
相続人の子が相続人になること 

・再代襲
代襲相続の権利を有する人物が相続事由発生以前に死亡した場合、その子が相続人になること(理論的には無限に続く)

・直系尊属
被相続人からみて直通する系統の世代(両親,祖父母・・・)

・直系卑属
被相続人からみて直通する系統の下の世代(子,孫・・・)

・半血兄弟姉妹
父または母の一方のみが同じである兄弟姉妹

血族相続人の相続順位

  • 第1順位相続人:子(あるいは代襲相続して孫)
  • 第2順位相続人:直系尊属(祖母または祖父)
  • 第3順位相続人:兄弟姉妹
相続順位
第1(第2)順位相続人が不在の場合のみ、第2(第3)順位相続人の権利が発生する

相続する割合

被相続人に配偶者がいるかどうかで条件が大きく変わる。配偶者がいなければ、該当する第1~3順位相続人間で均等分割するだけだが、配偶者がいる場合は配偶者の取り分がかなりある。

配偶者がいる場合

  • vs第1順位相続人(子):配偶者に2分の1、残りの2分の1をすべての子で均等分割
  • vs第2順位相続人(祖父or祖母):配偶者に3分の2、残りの3分の1をすべての直系尊属で均等分割
  • vs第3順位相続人(兄弟姉妹):配偶者に4分の3、残りの4分の1をすべての兄弟姉妹で均等分割(H25年の民法改正により、非嫡出子と嫡出子も均等分割)