フルオロカーボン(フロン) メモ

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先日読んだマイクロウェルプレートの明細書(特開2016-163549)に、マイクロウェルで用いる流体としてフルオロカーボンオイルが登場した。そのフルオロカーボンがどんなものか気になって追加調査したときのメモ。

フルオロカーボン(フロン)とは

  • 炭素・フッ素・塩素・臭素・水素からなる炭素数が1~3個の化合物の総称(通称フロン)
  • 炭化水素の水素原子をすべてフッ素原子に置き換えたものをPFC(パーフルオロカーボン)といい、HFC(ハイドロフルオロカーボン)とともに、「代替フロン」である
  • 人工的に作られた化合物であり、冷媒、溶媒、洗剤などに広く使われていたが、オゾン層を破壊する性質があることが判明し、世界的に使用されないようになった。1989年のモントリオール議定書初期からCFCに対する規制が始まり、その後、議定書補正のたびに対象物質の追加や削減スケジュールの前倒し変更があった。2016年のキガリ補正が最新の変更になる。モントリオール議定書に関する情報はサステナビリティ・ジャパンのサイトを参考にした
  • モントリオール議定書(1989~)は「オゾン層保護」の観点の規制であり、京都議定書(1997~)は「地球温暖化防止」の観点の規制である。そのため、モントリオール議定書ではオゾン破壊係数が高いCFC・HCFC・ハロンの生産量・使用量規制と代替フロン等(HFC・PFC・SF6)への転換を進め、京都議定書では、地球温暖化係数が高い代替フロン等を規制してノンフロンへの転換を進めている。

フロンの特徴

  • 熱に対して安定
  • 不燃性
  • 金属に対して腐食性が小さい
  • 油類に対して優れた溶解性がある
  • 電気絶縁性が大きい
  • 毒性が少ない

フロンの種類

Ⅰ類 オゾン層破壊型

臭素・塩素が入っていて水素が入っていないもの=>CFC(クロロフルオロカーボン)

Ⅱ類 オゾン層分解型

Ⅰ類に水素が加わったもの=>HCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)

水素の効果
水素原子が入ったものは対流圏内で分解されやすく成層圏まで到達しにくいので、オゾン層を破壊する能力がⅠ類に比べてかなり低い
Ⅲ類 オゾン層非破壊型

塩素と臭素がはいっていないもの=>HFC(ハイドロフルオロカーボン)

ハイドロフルオロカーボン(HFC)

塩素・臭素が入っていないためオゾン層を破壊しない

オゾン層破壊のメカニズム

オゾン:O3

  • 極めて強力な酸化剤である(酸化力の強さ: フッ素 > オゾン > 塩素)
  • 地上10~50kmの成層圏に、厚さ10数kmのオゾン層が存在する。宇宙から降り注ぐ紫外線が、大気中の酸素分子と反応することによって生成される

フロンとオゾンの連鎖反応

塩素や臭素を含むフロン(例えば、クロロフルオロカーボンCFC)に紫外線が当たると、フロンから塩素が分解して塩素原子が大気中に放出される。オゾンは放出された塩素原子を酸化するので(酸化力:オゾン>
塩素)、塩素原子1つとオゾン1つが反応して、一酸化塩素1つと酸素分子1つになる。さらに、一酸化塩素が酸素原子と反応して、塩素原子1つと酸素分子1つになる。

フルオロカーボンオイル

フロンについては大雑把に把握したので、次にフルオロカーボンオイルについてjplatpatで明細書を検索した。

特開2006-329901『化学分析装置』株式会社日立ハイテクノロジーズ

フッ素系以外の液体と混じらないパーフルオロカーボンオイル(以下フッ素オイルと称する)

【0038】
特開2018-113981『微小流体デバイス』レインダンス テクノロジーズ, インコーポレイテッド

微小流体基材のチャネル中で使用される連続相は、例えば、フルオロカーボンオイルなどの非極性溶媒であり得る。この連続相は、液滴を安定化するために、界面活性剤またはフッ素系界面活性剤なとの1種以上の添加物をさらに含み得る。フッ素系界面活性剤は、例えば、パーフルオロ化ポリエーテルであり得る。

【0026】
特開2014-12025『生物反応促進用バリア』ノースウエスタン ユニバーシティ

ある実施態様によれば、鉱物オイル、パラフィンオイル、シリコンオイル、フルオロシリコン、フルオロカーボンオイル(例えば、Fluorinert FC-40、3M製)、パーフルオロカーボン流体(例えば、Flutec(登録商標)、F2Chemicals製)、パーフルオロデカリン(例えば、P9900、Aldrich製、FlutecPP6、FluoroMed APF-140HP)、パーフルオロパーヒドロフェナントレン(例えば、FluoroMed APF-215M)、又はパーフルオロオクチルブロミド(例えば、FluoroMed APF-PFOB)を利用する。

【0084】

特開2014-12025より、フルオロカーボンオイルの商品名とメーカー名『Fluorinert FC-40、3M製』が判明した。

次いで、「フロリナート」等をキーワードにGoogleで検索すると、フロリナートを使ったデモ実験の動画や、細胞培養系のマイクロチャネル等でフルオラス溶媒(炭化水素の水素原子が全てフッ素原子に置き換わった化合物およびその誘導体)を使った報告や記事がいくつか見つかった。フルオラス溶媒の、酸素などの無極性分子をよく溶かすといった特性に注目するものらしい。

『フルオラス溶媒の特性を生かした細胞培養』川瀧ほか,生産研究68巻第3号(2016)